7.10.2014

世界銀行総裁による「開発分野におけるイノベーションの役割」

 7月10日、政策大学院大学にて「世銀総裁と語る:開発にイノベーションが果たせる役割とは」が開催され、世界銀行グループ総裁であるDr. Jim Yong Kimが「教育システムがどのようにすれば上手く機能するかは課題であり、日本ではその機能が上手く行っている」と指摘した。
フロアからは「なぜ貧困が良くないのか」と質疑があり、「ボリビアにてヘリコプターを利用した経験があるが、その地域では貧しい人達が携帯で写メールを撮影しているのが見えた。貧困者の人々も平等に機会を得たいと思っている」と世銀総裁は事例を提示した。


            世銀総裁のDr.Jiim Yong Kim

 1970年代から80年代にかけて多くの発展途上国が世銀による構造調整借款に依存し、ザンビア政府は1991年のチルバ政権の誕生により、世銀の構造調整を受け入れ、福祉や教育に対する予算削減が実施され、HIV/AIDSの感染者の増加が顕著になったといわれる。また、アフリカにおいて先進国のための換金作物が生産されるようになった背景にも、この世銀の影響が強い。
そのため、このような批判の声が上がるのは当然といえる。しかし、本プログラムのテーマであるイノベーション(技術革新)によって、貧困層の人達が平等にアクセス権を提供されることになるとすれば、人生の選択も多くなり、豊かさへの問いになるかと思われる。
 また、最近、世銀は"Learning from Megadisasters: Lessons from the Great East Japan Earthquake"という本を出版しており、日本の東北関東大震災の経験から災害リスクマネージメントを如何に取り組み、国際社会にアプローチするか、について課題を提示している。新しい世銀の動向にも注目である(堀尾 藍)。


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